ホームレスとは狭義には様々な理由により定まった住居を持たないで公園や路上などで生活する人のことを指しますが、広義にはホームレスとは家賃滞納、再開発による立ち退き、ドメスティックバイオレンスのため自宅を離れなければならない人など住宅を失う危機にある人のことも指します。そして近年の経済危機による雇用の低下や派遣切りなどで多くの人が済む家を失い、その場しのぎでインターネットカフェに泊まる「ネットカフェ難民」やマクドナルドで多くの時間を過ごす「マック難民」や車上生活者もホームレスというカテゴリーに含まれる傾向にあるようです。
とても身近な問題だけに多くの人に読んで頂きたい。
が、岩波に限らずこういった新書を読む人って少々限られるのが残念なところ。
イメージ的に軽くなるんじゃないか?という危惧もあるが、
まんがというメディアのほうが良かったのではなかろうか?
とにかくこの本、こういった(薄い)本では当たり前の
本をよく読む人には読み易いが、あまり読まない人には読み辛い
いたってシンプルな(芸の無い)構成で書かれているので読者を限定する。
一千万部程売れて欲しい(読まれて欲しい)本だが、
とてもじゃないが100万部、というか50万部もいかないんじゃなかろうか。
(正直にいえば10万部いかないと思う。)
まんがとまでいかなくても、もっと大きなサイズで、大きな文字で、
イラストも多数まじえて、といった本にしたほうが良かったように思う。
サブタイトルの『日本の不平等を考える』もくどいので要らない。
少なくとも月に10冊,20冊と本を読む方よりも
年に数冊といった方の眼に留まりやすい形で出たほうがいい。
そういった方にもっと読んで欲しい本です。
あと、子供に地盤,看板,鞄を継がせたいと考える
『子供』には優しい政治家の先生方にも読んで欲しい本です。
日常的に誰もが感じているが言葉にできないこと。何とかしたいと思っているが、煩雑な日常に流されている人。誰もが何とかしたいと思っている。そんな人にふさわしい一冊だ。
本書はOECDの提示する相対的貧困のデータを中心にして、日本における子どもの貧困問題が深刻な状態に陥っていることを指摘する。特に所得再分配後に貧困率が日本は唯一上昇していることが(p96)、日本の所得分配システムの大きな欠陥とみる。
私自身もこの本を噂を聞いた段階では日本の盲点だったのか、と思いましたが、実際に読んでみると、OECDの相対的貧困の定義には欠陥があるように思います。すでに先行レビューでかすってる議論ですが、その定義は「世帯所得+社会保障給付」にあります(p44)。ここには「消費税」という概念が含まれていません。いうまでもなく、消費税は所得層に関係なくかかっているので、その税率が上がれば貧困層が苦しむ仕組みがあります。しかし、Wikipediaあたりをみる限りは(税制度には詳しくないです、すいません)、日本はOECD加盟国の中ではかなりそれが低い。したがって、ここでいわれている海外の貧困層と日本の貧困層の割合が変化し、逆転する可能性はおおいにありうる。各国の消費税事情に関すること、その消費税の問題を考慮した上でも日本の貧困傾向は同じなのかには本書で何も触れられていません。
ちなみに海外の消費税制度については食料品など低減税率が採用されていますが、このような低減税率はこの相対的貧困の議論とはかみ合いません。6章の子どもの必需品についての議論にもあるように、論点はむしろその国における平均的な生き方が基準になっています。現在、生活保護の保護率は2.5%程度ですが、この貧困のラインと混同した主張が一部も見られます(p37にみられる本書の主張とp42-43の相対的貧困の定義がかみあっているのか、という問題です)。今後消費税が増税されていけばこの相対的貧困の定義でも問題視していくべきですが、このOECDのデータを中心に制度批判を行う妥当性が弱いようにみえます。
この問題点があるにしても、おそらく4章にみられる母子家庭における貧困問題は非常に深刻なものでしょう。私なんかはこちらの方が早急に解決すべき1番の問題点だと考えます。夫婦+こども2人という家族観が日本の諸制度を強く規定しているという話を聞きますが、この点は柔軟に制度設計されるべきでしょう。
(なお、一度レビューを削除されたものを訂正させて頂きました。関係者からのクレームであったのなら、お詫び申し上げます。)
表題は、本書が参考文献に挙げている『季刊社会保障
研究』第43巻第1号の巻頭言を援用しました。本書の著
者の立場、すなわち「子どもの数を増やすだけでなく、幸
せな子どもの数を増やす」ことへの政策目標の転換とい
う立場を端的に語っていると思ったからです。
さて、本書は相対的貧困、貧困の測定、貧困の不利、
不利の連鎖とオーソドックスに論点を進めた後、子どもの
貧困を捉えるために多数の合意による指標の標準化を
試みています。結果は何とも皮肉なものでしたが、これ
は固有の意義があるものと思いました。
数ある提言のうち、わたしが注目したのは、アメリカで
行われているというヘッド・スタートという(貧困の不利を
極小化するために幼少期から包括的な支援を行う)プロ
グラムです。紹介されている『子どもの貧困』(明石書店
2008)所収の実方伸子論文も、合わせて読んでみまし
た。現在公立保育所で行われている各種の実践を整理
し、目的に沿って自覚的に再構築することで、それへの
展望は開けるのではと思いました。
本書を読み終えて、もう一度『生活保護の経済分析』
(東大出版会 2008)の著者の執筆論文を読み直してみ
ました。同じ論旨が伺えました。それをかみ砕いた上で、
コンパクトにまとめてくれた本書が、昨年の新書大賞の
ベストテンにさえ入ってないというのは、何とも合点の
いかぬことです。
先日のNHKクローズアップ現代で、2夜連続で教育や医療を受けられなくなっている子供たちが急増しているという報道をしていた。進む不況の中で、貧困がここまで広まっている現実に愕然とした。
本書は、最近よく言われる「格差」という視点ではなく、今まさに広がりつつある「貧困」に焦点を当て、豊富なデータを示しつつ問題点を浮き彫りにしている。
また、本書では主観的になりがちな貧困の定義を「その社会において最低限の生活をしていくのに必要な水準」として明確にし、議論の出発点としている。
驚くべきは、先進諸国との比較で、勤務収入などから得られた所得と税金や社会保険料を控除して児童手当等を分配した後の所得の比較をすると、日本は18カ国中唯一子供の貧困率が上がっているとしている。つまり、我が国は子供への社会福祉政策が機能していない国であるという現実である。
さらには、17人に1人が母子家庭の子供というが、ここで紹介される多くの母子家庭の厳しい現実に、早急に手を打たなければこの国の未来は悲観せざるを得ないと考えさせられた。
これらの我が国における厳しい現実をふまえて、本書では子供の貧困問題に取り組むイギリスの例を参考にしつつ処方箋を示している。
それらの提言の中で、著者独自のものとしては、「財源を社会全体が担うこと」、「給付付き税額控除」、「公教育の改革〜高校・大学教育の無料化」、「少子化対策ではなく子ども対策を」といったものである。
支出の削減という美名の元に、未来を担う子供たちが確実に貧困にあえいでいる。
将来の日本のために残されている時間は、とても少ないような気がする。